おしゃごじ様(妻籠宿)概要: 「おしゃごじ様」は案内板によると「 御左口(ミサグチ)神を祀る。古代から土俗信仰の神様で土地精霊神"土地丈量神様「酒神」"等の諸説がある謎の神様といわれている。 尾又区 」とあります。「土地精霊神」とは土地の地霊や土地の祖霊、土地神様と思われます。「土地丈量神様」とは聞いた事はありませんが「丈量」とは土地の面積を測量するという意味である事から、そのまま訳すと土地の面積を測量する神様という事になります。「酒神」としたら、何故この場所に祭られているのかは説明がしにくいと思われます。そのように考えると妻籠宿では「おしゃごじ様」は「塞の神=境の神」と同義で、道中安全や、宿場内に入り込む疫病や災難、厄災を防ぐ為に信仰されたと思われます。
一般的に「おしゃごじ様」は所謂「ミシャグジ」と呼ばれる神様の事で、柳田國男の考察によると、古代の日本人が信仰した土着の神で、「塞の神」と同義としています。塞の神は、日本古来からいた先住民とその後進出してきた大和民族との居住区の境に設けらた境の神として信仰されていたと推察される事から、宝暦年間(1751〜1764年)に付け替え工事が行われるまでは中山道(木曽路)と大平街道の追分(尾又)だったこの場所は土地霊を祀るには適していたと言えます。又、おしゃごじ様は信濃国(長野県)一宮である諏訪大社の元々の祭神が土着神である「ミシャグジ神」だったとの説もあり、それらの信仰が当地まで浸透したのかも知れません。いずれにしても民俗学的に興味深い石仏と言えます。
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