七苦難地蔵尊堂(別所温泉)概要: 別所温泉は"七久里の湯"と称し平安時代中期に清少納言により執筆された枕草子にも記されていた名湯で、その名から"七苦離"に通じ7つの苦難から解き放たれると信じられました。北向観音の別当である常楽寺の地蔵尊をこの地に安置し七苦難地蔵尊として祀っています。能因本枕草子の一節第117段にある「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」から、この3つの温泉を日本三名泉(林羅山・万里集九は異なる日本三名泉を推しています。)としています。
有馬の湯は現在の有馬温泉(兵庫県神戸市)、玉造の湯は現在の玉造温泉(島根県松江市:異説として宮城県大崎市にある鳴子温泉を挙げる説もあります。)、そして「ななくりの湯」は三重県津市にある榊原温泉が有力です。榊原温泉は伊勢神宮への参拝路でもあり多くの参拝者が利用していただけでなく、源泉が伊勢神宮の神事に利用されるなど当時から知られた存在でした。
又、旧地名が七栗だった事や「ななくりの湯」を別の書物で書かれていた一節に「一志」が記され地名である一志郡を指すとされる事が理由として上げられています。別所温泉では上記のように「七つの苦難から開放される温泉」や「元々七つの源泉があり、それぞれ効能が異なる温泉」などの理由や鎌倉時代、順徳天皇が編纂した「八雲御抄」の中に七久里の湯は「信濃の御湯と同じ」との記述があり、信濃の御湯とは即ち別所温泉の事とされます。
【 参考:文献等 】
・ 現地案内板(由来)-北向観音本坊 常楽寺
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